ロシアがウクライナ侵攻
ロシアのウクライナ侵攻が大統領のウラディーミル・プーティン氏の暴挙であることは論を待たない。ロシアがウクライナに対して戦争を仕掛ける理由など何もない。21世紀になってこのような一方的な戦争を見せられるとは思いもしなかった。在任期間が長く世界でもよく知られた国の指導者がこのような暴挙を行うとは全くの予想外のことであった。
ロシアの非人道性に心が痛むが、ここでは、ウクライナ侵攻を巡って発せられた不適切な発言について記したい。
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バイデン米国大統領の非派兵宣言
ロシアのウクライナ侵攻の前、ジョー・バイデン米国大統領は早々に米国やNATO(北大西洋条約機構)はウクライナに派兵しないと言明した。これにより、プーティン氏は欧米との開戦を心配することなく軍を進めることができた。どうして「あらゆる選択肢を検討している。」と言うことができなかったのかと不思議に思う。
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親露のトランプ前米国大統領
トランプ前米国大統領は、プーティン氏がウクライナ東部地域の独立を承認した際、プーティンは天才だと言明した。前世紀、自国民ないし自民族の保護を目的に他国を侵略した例は枚挙に暇がないのに何を考えているのであろう。トランプさんは、バイデンさんがロシア対策に頭を悩ませていることが嬉しいのであろうが、ロシアの蛮行を正当化していると受け止められかねないコメントは何をか言わんやだ。トランプさんは本当にアメリカ合衆国の国益について考えているのか疑わしい。大国のトップとしての資質はないと言わざるを得ない。
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呑気な志位和夫共産党委員長
志位和夫共産党委員長は、一連の動きを受け、「プーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条だ。」と訴えた。ロシアのウクライナ侵攻は、何の非もない平和な国が突然軍事攻撃を受けた例として取り上げるべきなのに、戦争の放棄と交戦権の否認の論拠付けに用いるとは、何と他者を疑わない呑気な思考の持ち主かと思う。国民の命を預かる政治家としての資質には疑問符が付き、現に様々な批判が寄せられている。
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鳩山由紀夫元総理大臣と鈴木宗男参議院議員の根拠のない主張
鳩山由紀夫元総理大臣は、ロシアのウクライナ侵攻を非難しつつも、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が自国に住む親露派居住者を虐殺したことがウクライナ侵攻の一つの原因だとして同大統領を批判した。
また、維新の会の鈴木宗男参議院議員は、原因はウクライナにあると指摘した上で、日本がロシア制裁に踏み切ったことに対して、ロシアとの間に北方領土問題を抱える日本の国益を引き合いに疑問を呈した。
両人とも、ロシアによる侵攻前のウクライナの行為についてどれだけの証拠を掴んでいるのか疑わしい。ウクライナ東部地域は、ロシアが侵攻するに際して口実にされかねない地域であり、通常であれば腫れ物に触るように扱っていたと考えるのが妥当だと思う。また、両人とも親露派なのかもしれないが、これだけの蛮行が行われている時に、自らの立場とは関係なく客観的なコメントを発しないと、バランス感覚を強く疑われることになる。ロシアの立場を理解することで日本の国益が保たれると考える鈴木さんの論理構造には呆れるばかりだ。
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反ウクライナの鳥越俊太郎さん
ゼレンスキーさんが日本の国会でオンライン演説を行う予定であることを受け、鳥越俊太郎さんが、所詮紛争の一方当事者だとして、猛反対の意向を示した。
一方的に軍事攻撃を受けているウクライナを紛争の当事者だとしてロシアと一括りにする感覚はどうして生まれるのかと思う。よほどアメリカ合衆国中心の国際世論形成が気に入らないのであろうか。鳥越さんは、新型コロナウイルス感染症の関係でも失言していたし、その発言に対して免疫ができてきた気がするが、ゼレンスキーさんの国会演説は国民が許さないなどと勝手に国民を引き合いに出さないでほしい。重ねて言う。晩節を汚すな。
(2022年3月20日執筆、2022年8月19日更新、2024年8月21日掲載)
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