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韓国E

出発

ソウル

束草

抜粋
全州

天安

回顧

概要

■ソウル(漢字表記が首爾に変更)の金浦空港に到着したのは、21時半頃であった。地下鉄に乗って市内に入った。4回目の訪問とは言え、7年振りの訪問であり、夜の帳が下りた町の様子を理解することは難しかった。特に、安宿が集中する地域を見極めることができない。鍾路3街駅の辺りに目星を付けていたが、安宿は見つからなかった。旅館という看板の掲げられた施設は、どれも風俗関係のもののように思われた。鍾路3街駅から鍾閣駅の辺りまでを行ったり来たりした後、仕方なく前回の旅と同じYMCAのトゥイン・ルームで荷を解くことにした。当地はもはやバジェット旅行者がゆっくりと過ごすことのできる町ではなくなったのであろうか。

翌日は、昼食時に明洞に出かけ、全州中央会館でピビムパプを食べるなどした後、地下鉄に乗って高速バス・ターミナルに向かった。

出発

ソウル

束草

抜粋
全州

天安

回顧

概要

■束草(ソッチョ)は、雪岳山(ソラクサン)が聳える町だ。江陵(カンヌン)ともども、初めて北東部の江原道(カンウォンド)に足を踏み入れることになった。

ソウルからのバスが到着する高速バス・ターミナルを出ると、市内バスに乗って中心部に向かった。しかし、目印とされている市外バス・ターミナルの場所が分からない。結局、降り損なってしまい、折り返しのバスに乗り換える羽目になった。期待通りの田舎町であったが、勝手を掴むことが難しく、到着日の夕食はハンバーガー・ショップで取ることになった。当地には2日間滞在し、到着翌日は雪岳山を訪ね、出立日は午前中を高城(コソン)にある統一展望台(トンイルチョンマンデ)訪問に充てた。

写真
権金城

雪岳山へは、市外バス・ターミナルから市内バスに乗って向かう。夏休み期間中に当たっているためか、多くの観光客が押しかけてきており、交通渋滞のため終点手前でバスを降ろされてしまった。雪岳山では、ケイブル・カー(日本語ではロウプウェイ)に乗って権金城(クォングムソン)に向かうのが一般的ではないかと思われるが、渓谷美を堪能することができるという千仏洞渓谷(チョンブルドン・ケゴク)を試してみることにした。

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新興寺

千仏洞渓谷への入口となるのが新興寺(シヌンサ)だ。大仏を拝むと、早々にトレッキングに取り掛かった。トレッキングは、最初の間こそ順調であったが、石と岩の上を進んでいかなければならないようになると、次第に歩が進まなくなってきた。サンダルを履いていたためだ。これは、状況をよく把握していなかったこともあるが、前年にエヴェレスト・トレッキングに成功しており、無意識のうちに当地でのトレッキングを甘く見てしまっていたかもしれない。

写真
鬼面岩

当初、上り3〜4時間を要するという天堂瀑布は無理だとしても、手前にある五連瀑布までは到達したいと考えていたが、それも叶わなかった。飛仙台で十分に休憩を取って体を休めたつもりであったが、鬼面岩に差し掛かったところで体力の消耗と下山時刻を勘案し、先に進むのを断念することにした。

当初予定していた地点までは到達することができなかったが、千体の仏になぞらえられる渓谷美を一部なりとも堪能することができ、それなりに満足して雪岳山を後にした。

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統一展望台

写真
金剛山

■高城(コソン)は、韓国最北の地にある。束草の市外バス・ターミナルから市内バスに乗り、統一安保公園でシャトル・バスに乗り換えて向かった。統一展望台に到着すると、1階にある展示室の見物をほどほどに済ませると、2階にある展望台に上る。眼下には北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)領が広がる。北朝鮮領は、板門店と、丹東から鴨緑江越しに眺めた新義州の2か所で目にしたことがあるが、当地では至近距離に近づくというわけではないため、それほどの緊張感はなかった。視界の先には南北統一のシンボルであり韓国人の多くが憧憬するという金剛山(クムガンサン)が聳え、周囲には子供連れの一般国民が大勢いることも影響しているであろう。政治面での対立を意識せざるを得ない板門店や経済面での格差を意識してしまう丹東とは異なり、当地では韓国人の多くが当然のごとく持っている北朝鮮との一体感を理解することができたように感じた。帰路のバスの出発時刻が分からなくて困っていたが、統一展望台の外で同乗者を見つけることができた。

写真
鏡浦台

江陵(カンヌン)は、東海岸最大の町だ。束草からのバスを降りると、中心部に向かって歩き始めたが、束草に到着した時と比べて余裕を持って歩くことができた。アシアナ航空のオフィスを訪ねて帰国便のリコンファームを行うと、列車を予約するために駅に向かった。本来は当地に滞在してゆっくりと市内見物をするべきなのであろうが、観光名所が散在していて市内見物が簡単ではないと感じていたこともあり、当夜のうちに当地を離れることにしたのだ。そして、出立するまでの間、バスに乗って鏡浦台(キョンポデ)を訪ねた。鏡浦湖を始めとする周辺の風景に溶け込んでいるように感じられた。

出発

ソウル

束草

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全州

天安

回顧

概要

■全州は、2回目の訪問となる。江陵出立の翌朝、ソウル駅に到着すると再び高速バス・ターミナルに向かい、すぐに全州に向かうバスに乗り換えた。列車は所要時間が長く、夜を徹して走るため、ソウルでの旅館探しを回避することができて好都合であった。

当地を再訪することにした目的は、もちろんコリア料理を堪能することだ。家族会館(カジェク・フェグァン)や中央会館などでピビムパプ、韓一館でコンナムル・クッパプと、懐かしい味に再会することができた。

写真
慶基殿

当地には1日だけ滞在し、慶基殿や東学革命記念館などを見物した。多くのコリアンが訪ねるようになったためか、タイル貼りの道路を持つ立派な商店街が形成されており、時代の変化を窺わせた。もちろん、前回の旅から12年が経っており、経済発展の著しい韓国では当然の変化かもしれない。

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ソウル

束草

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全州

天安

回顧

概要

■天安(チョナン)は、独立記念館(トンニプ・キニョムグァン)があることで有名だ。全州からの列車が到着すると、一旦市内バスに乗って牙山(アサン)に向かい、温陽(オニャン)温泉(オンチョン)に宿泊先を求めることにした。そして、清州(チョンジュ)温泉ホテルに泊まり、併設されている温泉に入って旅の疲れを癒し、翌日には独立記念館を見物した。

写真
独立記念館

独立記念館では、広大な敷地に7つの展示館に分けて展示が行われている。必ずしも日本からの独立だけをテーマとしているわけではないが、大半の展示館が日本からの独立について扱ったものだ。募金運動を展開して設立されたのだそうだ。

記念館には、併合時代の当局による拷問など、日本人としては目を背けたくなるような展示も多い。これについては、反日思想を煽っているのではないかという見方をすることもでき、賛否両論があろう。確かに、反日デモンストレイションは、中韓両政府にとって一般国民の鬱憤を政府に対する批判ではなく外国に対する反発へと昇華させることができ、好都合だという解釈は、的を射ているのかもしれない。しかし、日本政府の最高責任者が、東京裁判(極東国際軍事裁判)の総括をすることができないにも関わらず、A級戦争犯罪人を合祀しているだけではなく戦争を美化しているとして外国からウォー・シュライン(戦争神社)と揶揄されている靖国神社に参拝している現状では、中韓両国を批判することができるのかと考えてしまう。東南アジアを含む東アジア地域は経済統合により更なる経済発展を目指すことが中長期戦略だと考えるが、そのためには関係国民すべてが小異を捨てて大同に付くという努力をする必要があるのではないだろうか。

天安では、帰国便の出発に合わせて翌未明に宿泊先をチェックアウトすることにしていたため、それが可能な旅館を探すために苦労した。忠清南道とは言え、ソウルの広域電鉄区間に入っており、物理的にはソウルから簡単に足を伸ばすことのできる当地をもっと多くの日本人が訪ねるようになればよいのにと思う。

出発

ソウル

束草

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全州

天安

回顧

概要

■現地での1日平均の旅行費用(土産費を除く)は約5,100円と高くなった。旅行費用のうち宿泊料金の最高はソウルの約6,600円(60,000ウォン)で、最低は束草などの約1,600円(15,000ウォン)であった。原油価格の高騰に対応するために航空券の料金に燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)が上乗せされるようになっていたこともあって、渡航費用が高くなった。

5回目の訪問ともなると、韓国で見逃すことのできない観光名所は既にほとんど訪ねたという状況になってきている。この旅の前半に江原道を訪ねたことで、特別市を除いてまだ訪ねたことのないのは忠清北道(チュンチョンプクド)と済州道(チェジュド、厳密には済州特別自治道)だけとなった。このような状況になると、自由に旅程を練ることができるようになる。この旅では途中で全州を再訪したくなったが、簡単に旅程に組み入れることができた。次の機会にはさらに自由な旅行を行うことができるのではないかと期待している。

出発

ソウル

束草

抜粋
全州

天安

回顧

概要

前訪問地発 当訪問地着 訪問地
出発 日本 東京
14日19:20 空路 21:35 韓国 ソウル
15日13:00 道路 16:20 束草
17日12:45 道路 14:00 江陵
22:20 鉄路 18日06:00 ソウル
07:55 道路 10:35 全州
19日13:30 鉄路 15:50 天安
20日
21日03:40 鉄路 04:55 ソウル
08:35 空路 10:55 日本 東京
道路 :道路、 鉄路 :鉄路、 空路 :空路)

訪問地 宿泊先 単価
韓国 ソウル YMCA KR.W 60,000 1
束草 不詳 KR.W 15,000 2
全州 漢城旅館 KR.W 30,000 1
天安 清州温泉ホテル(牙山) KR.W 25,000 1
不詳 KR.W 15,000 1

国名 通貨 為替 生活 食料 交通 教養 娯楽
韓国 KR.W 0.110円 0 101,500
内訳
106,290
内訳
0 5,900
内訳
通貨計 JP.\ 1.00円 0 11,164 11,691 0 649

国名 住居 土産 支出計 円換算 日平均
韓国 160,000
内訳
7,000 380,690 41,104 8 5,138
通貨計 17,599 770 41,104 8 5,138
(注)円換算と日平均は土産費を除く。

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ソウル

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春 夏 秋 冬
夏 秋 冬 春
秋 冬 春 夏
冬 春 夏 秋
春 夏 秋 冬
夏 秋 冬 春
秋 冬 春 夏
冬 春 夏 秋

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