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アメリカ合衆国 回顧

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概要

■以上が、合衆国滞在の概要だ。約5か月の滞在によって、様々な経験をすることができた。さらに、生活に際して必要な情報を中心に振り返ってみたい。

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■渡航に際しての所持金としては、50ドルと20ドルのトラヴェラーズ・チェックで約4,000ドル、20ドル札と10ドル札を中心にキャッシュで約1,000ドルを用意し、当座の資金とした。そして、渡航後に現地でチェッキング・アカウントを開設した。ただ、ホテルやレンタカーの営業所で小切手を振り出す時に住所確認のために現地の運転免許証の提示を求められ、問題が生じることがあった。ほかに、日本の預金口座から直接キャッシュを引き出すことのできるシティバンクのキャッシュ・カードを持参したが、利用する機会はなかった。

日常生活での支払いに際しては、トラヴェラーズ・チェック、キャッシュを問わず20ドル券が非常に有用だ。銀行のCD(現金自動支払機)でキャッシュを引き出す時に受け取るのも20ドル紙幣だ。20ドルのトラヴェラーズ・チェックは多くの店でキャッシュと同様にそのまま使うことができ釣銭はキャッシュで受け取ることができるため、キャッシュの持参はあまり必要ない。郵送の場合など支払額ちょうどの金券が必要な場合は郵便局やスーパーマーケットなどで少額の手数料を支払ってマネー・オーダー(郵便為替)を買うことができるため、アパートメントのレンタル料金など支払額が高額な場合のために500ドルや100ドルのトラヴェラーズ・チェックを用意しておくとすると、短期間の滞在のためには銀行でチェッキング・アカウントを開設する必要はないのかもしれない。

チェッキング・アカウントの利用に際して不便であったのは、1日の引出限度額が1,000ドル程度に設定されていたことと、CDで引き出すことのできる金種が20ドル札に限られていたことだ。緊急に大金を必要とすることになった場合にチェッキング・アカウントを利用することができないのだ。

クレディット・カードは数種類持参し、時々利用した。国際的に通用するクレディット・カードは、ホテルやレンタカーの予約の際の身分証明のために少なくとも1種類は必要だ。

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■ほとんどの品物は、渡航してから入手することができるが、日本から持参するべきものとして、変圧器、常備薬、スリッパ、日本茶が挙げられると思う。ただ、電圧は110Vと日本とあまり変わらないため、変圧器なしでそのまま使うことのできる電気機器もある。また、スリッパと日本茶は両親訪米時に持ってきてもらった。

自動車を運転するためには、国際運転免許証だけでなく日本の運転免許証も持参しなければならない。また、ガイドブックは、ワシントンDC以外の町を訪ねることを考えて、ワシントンDCだけでなく全米を対象にしたものを持参した。

ワシントンDCでは、寒波が襲来すると気温は10F(約−12℃)程度まで下がり凍てつくような寒さになる。また、五大湖地方やニューイングランド地方では0F(約−18℃)程度まで下がることもある。日本では厚手のコウトを持っていなかったため、現地調達をした。日本でLargeサイズを利用している場合、合衆国ではSmallサイズで十分だ。日本でSmallサイズを利用している人は、合衆国では体格に合うサイズはなかなか見つからないかもしれないと思う。

住居以外から海外や遠距離に通話するためには、クレディット・カードの指定口座から料金が自動で引き落とされるAT&Tのコーリング・カードを持参することが一般的なようだが、用意せずに渡航してしまった。コーリング・カードは現地でも作成可能だと聞いていたが、AT&Tの販売店で尋ねてもこちらの質問の意味を理解してもらうことができなかった。また、コレクト・コールは通話料金が通常の数倍になってしまうためあまり利用することはできない。さらに、クォーター硬貨を用意して通話しようとする場合、1度に投入する量は通話先ごとに指定されることになっており、次にオペレイターの指示があるまでは追加することができないため、通話がオペレイターの音声によって中断されてしまうことになり、現実的な方法ではない。どうするべきか困っていたが、渡航後しばらくしてAT&Tなどのプリペイド・カードを買うとよいことが分かった。50ドルや20ドルなどのカードがあり、利用金額がすぐに分かるので便利であった。

ビジネス・カード(名刺)は、日本での身分を記載したものを用意し、渡航してから裏面に現地での身分をパーソナル・コンピューターを利用して印刷した。印刷方法は、最初用紙に印刷して印刷位置を確認した後、名刺をその用紙にテープで貼り付けて再び印刷するというものだ。渡航してから印刷業者に注文することもできたであろう。

持参したパーソナル・コンピューターはウィンドウズ上で操作することを想定していたが、受入先のパーソナル・コンピューターはまだウィンドウズに対応しておらず、連携させて使うためには、ソフトウェアに制約を受けることになった。

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■自動車については、渡航前は中古車の購入や長期レンタルを考えていたが、単身者の場合、ワシントンDC郊外の交通の便のよい場所に居住している限り、東京と同じく自動車を運転する必要性は低い。また、受入機関の駐車場は登録による順番待ちになっているため、通勤用に利用するとなると民間の駐車場をレンタルせざるを得ず、アパートメントの駐車場と合わせて駐車場のレンタル料金が1か月200ドルに上るという問題もあった。結局、ワシントンDCでは1日単位で数回レンタルするに留まった。レンタカーは、むしろ地方訪問の時に便利であった。地方ではビジネス拠点がダウンタウンから20マイル程度離れた郊外に散在している町が多く、タクシーの利用も難しいため、レンタカーがないと地方訪問は難しかったかもしれない。レンタカーの在庫は豊富であるため、予約しなくても空港で簡単に借りることができた。ただ、予約した方がディスカウントされるのかもしれない。

右側通行の道路に合わせてステアリング・ホイールが左側座席にあることについては、前回の韓国旅行の際のドライヴで経験していたため、違和感はなかった。韓国でドライヴをした最大の目的は、合衆国滞在のために右側通行の道路に慣れるということであったのだ。また、韓国旅行の際とは異なり、利用したのはすべてオートマティック・トランスミッション車であったため、右手によるトランスミッションの操作に悩まされるということもなかった。

注意しなければならないのは、一部の田舎を除いて自分で給油することになっていることだ。給油のためには、多くの場合、まず、ポンプのレヴァーを「ON」の方に向けなければならない。通常はすぐに使い方が分かったが、ガス・ステイションによってレヴァーの形式が異なるため、使い方が分からないこともあった。その場合は、ほかの客が給油している様子を観察し、使い方を理解するように努めた。ポンプのノズルを自動車の給油口に差し込んだ後は、ポンプを握ってさえいればよいため、操作は容易であった。自分で給油する場合、料金前払いと後払いの2種類の方式がある。前払い方式でフルに給油する場合などのように料金が事前に分からなければ、暫定的にたとえば20ドルをデポジットとして支払うことになっている。自分で給油するということは、日本の給油サーヴィスの善し悪しについても考えさせられる貴重な経験であった。また、レンタカーのチェックアウト時にフルに給油されていない場合は、同様の状態で返却すればよいようだ。

AAAは、自動車運転手のための協会ではあるが、自動車を運転しない人も入会するとよいのではないかと思うぐらいサーヴィスが充実していた。また、会員に対してトラヴェラーズ・チェックを手数料なしで発行してくれるため、ワシントンDCを離れて西部訪問に出かける前にほとんどの所持金をトラヴェラーズ・チェックに切り替えた。

AAAの入会時、ニューヨーク州旅行について相談した。そして、ガイドブック、ナイアガラフォールズやニューヨークの地図を貰った。さらに、驚いたことに、ワシントンDCからナイアガラフォールズとニューヨークを訪ねてワシントンDCに戻るための加除式の経路地図帳を作り、それに基づいてワシントンDCからの詳細な経路を説明してくれた。飛行機に乗って向かうということを伝えなかったためだが、サーヴィスの充実に驚かされた。

オリンピアのAAAでは次のような経験をした。カウンターで年配の夫妻がナイアガラフォールズまでドライヴをする方法を尋ねている。そして、往路は合衆国内を走り、帰路はカナダ国内を走ることが希望だという。それを聞いて、往路はインターステイト・ハイウェイ90号を東進し、帰路はカナダ横断道路を西進するという回答しかあり得ないと即座に思った。ところが、スタッフは、まず何月にドライヴをするのかと尋ね、道路が凍結している恐れがあるためしばらく出発を見合わせた方がよいことを説明した後、詳細な経路を説明していった。そのような親切な説明は、全く予想外のことであった。

合衆国滞在中、両親訪米時にワシントンDCから230マイル、バッファローから87マイル、ニューヨークから約200マイル、アトランティック・シティ訪問時に574マイル、五大湖地方訪問時にシカゴから434マイル、デトロイトから448マイル、東部訪問時に958マイル、南部訪問時に1,040マイル、西部訪問時にダラスから約1,000マイル、デンヴァーから約5,500マイル、ハリスバーグ訪問時に389マイル走り、総走行距離は約11,000マイルであった。

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概要

■日本のニューズは、テレヴィジョンや新聞によって仕入れることができた。

ケイブル・テレヴィジョンでは、平日18時半からNHK(日本放送協会)衛星第1放送の「トゥデイズ・ジャパン」を原語(英語)で放送しており、馴染みのニューズキャスターのアナウンスを毎日楽しみにしていた。また、日本のドラマなどを単発的に放送していたほか、新年にはNHKの「紅白歌合戦」の録画放送を楽しむことができた。

朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞は衛星版を配達してもらうことができ、購読料金は1か月70〜90ドルであったが、購読は見送った。その代わり、約3ドルの一部売りを書店で時々買うことにした。

合衆国滞在中に、日本では経済計画が発表になった。また、村山富市総理大臣(内閣総理大臣)が内閣総辞職を表明し、橋本竜太郎自由民主党総裁が新内閣を発足させた。さらに、いわゆるバブル経済の崩壊後長らく続いていた日本の景気後退がようやく底を打ち、景気回復期に入ったとの宣言がなされた。

一方、国際的には、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの紛争が混迷を極めていた。セルビア人とクロアティア人、セルビア人とムスリム(イスラーム教徒)の紛争に加えて、同盟を結んでいるクロアティア人とムスリムの間にも紛争が再発しているという。三勢力の背後には、それぞれユーゴスラヴィア連邦セルビア共和国とロシア、クロアティア共和国とドイツ、トルコと合衆国などの思惑がある。中国の三国時代を思わせるような鼎立状態が続いているバルカン半島に平和な日が訪れるのはいつのことであろうかと思いやられた。

また、ロシア連邦チェチェン共和国の独立要求に伴う紛争は、独立要求過激派が共和国外のロシアの村に村民を人質にして立てこもり、ロシア軍が人質の救出を放棄して村を攻撃するという事態になった。合衆国政府は、ロシアのボリス・イェリツィン大統領の改革路線からの後退と強硬路線への傾斜を懸念しているようだ。旧ソヴィエト連邦各共和国の国境は民族を基準にして設定されたものではなかったため、各共和国が独立した時、単に各共和国が独立するというだけでは旧ソヴィエト連邦の民族問題は解決しないであろうと予感したが、不幸にも予感が的中してしまった。

このように、旧ユーゴスラヴィア、旧ソヴィエト連邦、アフリカなど多くの地域で民族紛争が起こっており、国際連合が仲介しようと働きかけているが、各民族が満足する解決方法を提示することは極めて難しい。民族紛争の根本問題として、多民族国家の中で各民族が対等の立場で共存することの難しさがある。これは、第二次世界大戦や社会主義政権崩壊の後に成立した民族国家の限界を示していると言ってよいであろう。また、合衆国も同様の問題を抱えている。一方、国際連合は強力ではない。EUのような超民族的連合体の設立がこの問題を解決する契機にならないであろうかなどと思案していた。

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概要

■合衆国は、24か国を訪ねた後に12回目の渡航でようやく訪ねることができたことになる。アジア諸国に魅せられた人の中にはやはり合衆国訪問を敬遠する人がいるようだが、日本と合衆国の関係を考えるとかなり遅い訪問であったと言うことができるかもしれない。合衆国訪問が遅くなったのは、以下のような理由による。

第1は、今回の渡航などのようにいつかは合衆国を訪ねることができるであろうと考えたことだ。この予想は的中したわけだ。一方、アジア諸国の中には、思い立った時に訪ねておかないと、後で訪ねようとした時には国境が閉ざされていて訪ねることができなくなっている可能性のある国もある。中国が外国人に対して門戸を開放した時には、いつまた門戸を閉鎖するか分からないとも言われていた。また、実際に事件が起こり、入国や入域が制限を受けるということがあった。

第2は、合衆国は最も豊富に情報の入ってくる国であり、異文化に対する驚愕を感じるという旅の目的の1つが欠けていると考えたことだ。一方、アジア諸国は、高度経済成長が続いている国が増えてきたとは言え、依然としてほとんどの国が発展途上国であり、旅行者のための環境が整備されていないこともある。旅は快適だとは言い難く、カルチャー・ショックが大きすぎて旅そのものが立ち行かなくなる恐れもある。そのため、カルチャー・ショックに対する対応力の高い若い時に訪ねておいた方がよいと考えていた。結果的には、この考えは、アジア諸国については正しかったかもしれないが、合衆国についてはある意味で間違っていたと言うことができる。確かにニューヨークのマンハッタンの概観は知っていたかもしれないが、ニューヨークの郊外、あるいはピッツバーグやアトランタのような地方都市の様子を詳細に知っているわけではなかった。ましてや文化については、ジーンズを着てハンバーガーを食べる若者が多いというような表層的なことを除くと、ほとんど何も知らなかった。もちろん、合衆国の文化にかなり親しく触れることができたのは、単に旅行するだけでなく、短期間とは言え滞在するという機会に恵まれたことが大きく影響しており、その意味では合衆国滞在という経験をすることができたことは幸いであった。

第3は、合衆国は広大な国なので、短期間の休暇では十分に隅々まで訪ねることはできないと考えたことだ。それまで、ヨーロッパ旅行、中国旅行、インド旅行では長期間の旅行を堪能することができたが、一般的には長期休暇の取得は難しい。そして、短期間の旅行であれば、韓国やタイのような狭小な国の方が慌ただしい旅行になりづらい。ロスアンジェルスやニューヨークなどの1都市だけを訪ねるというような滞在型の旅をすることも考えられたが、再訪であればともかく、初めての旅では、その時に感じたことが先入観として強く脳裡に焼き付いてしまう恐れがあるため、周遊型の旅をしたいと考えていた。また、合衆国は世界最長の鉄道網を誇っているとは言え、列車は頻繁に運行されているわけではなく、手軽に利用することはできない。ヨーロッパ編、中国編、インド編では都市間の移動手段として列車についての解説に重点を置いているガイドブックが、アメリカ編では飛行機、バス、レンタカー、列車の順に解説を掲載している。そして、国際線の延長として国際線の航空券によって国内線の飛行機を利用することができる場合を除いて、バジェット旅行のための都市間の移動手段としてはバスが主流になるわけだが、バス・ディーポに時刻表が置かれていないことなどのため、移動には苦労することになる。さらに、国土が広大なだけではなく、ロスアンジェルスのように巨大で、しかも自動車の所有を前提にした町づくりが行われていて公共交通機関の乏しい町では、レンタカーを利用しない限り市内移動にも苦労することになる。バジェット旅行を提唱しているガイドブックでさえ現地での1日平均の旅行費用の目安を88ドルとしており、バジェット旅行についての考え方を変える必要があると考えていた。

仮に10日間程度の旅程を組むとしても、訪ねる町を決めることは難しい。ヨーロッパであれば、首都、古都、商都、聖都、大学の町、中世の町、異文化のせめぎ合いの歴史を証言する町など、町の特徴がはっきりとしている。一方、合衆国は歴史が浅いため、町の特徴を簡単に掴むことはできない。そして、旅のテーマを明確にしないと訪ねるべき町はあまりにも多く、たとえ訪ねる町が決まったとしてもロスアンジェルスやニューヨークのような町では訪ねるべき見所はあまりにも多い。ガイドブックではいくつかのテーマを挙げてそれぞれのテーマに応じた旅程の例を示していたが、テーマによって訪ねるべき町が大きく異なってくることが明確になっており、かえって決断が難しくなっていた。結果的には、約5か月の合衆国滞在中、厳密に数えると30州、1特別区、合衆国以外の4か国を合わせて94都市を訪ねることによって、それぞれの町が個性を発揮している様を確認することができた。

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■アメリカ人に対する印象として、事物を順番に並べることは得意だが、系統立てて分類することは苦手だということが挙げられる。

まず、住所表示について考えてみる。ワシントンDCの住所表示は例外的に比較的分かりやすい。国会議事堂を中心に、東西に走るストリート名にはアルファベット、南北に走るストリート名には数字が順番に並べられ、斜めに走るアヴェニュー(大通り)名には州名が付けられている。そして、地番はストリートによって区切られたブロックことに100単位で大きくなっていく。したがって、たとえば「1801 K Street, N.W.」は、Kストリートに面した18番ストリートと19番ストリートの間を意味し、「701 15th Street, N.W.」は、アルファベットの7番目はGなので、15番ストリートに面したGストリートとHストリートの間を意味する。ただ、JとX〜Zはストリート名には用いられない。また、N.W.(北西)は、キャピトルとの位置関係を示す。アルファベットが一巡すると2音節の単語(Adams など)がストリート名となるが、同様にアルファベット順に並べられており、さら一巡すると3音節の単語(Allison など)が続く。したがって、北部のロック・クリーク・パークを除いてワシントンDC市内で道に迷うことはあり得ないと言ってよいであろう。ただし、同じ名前のストリートが途中で切断されていることがあり、その場合は注意が必要だ。

住所表示で複雑なのは、斜めに走るアヴェニューに面している場合だ。東西に近い斜めの場合は東西に走るストリートに準じて、南北に近い斜めの場合は南北に走るストリートに準じて地番が付けられている。したがって、アヴェニューについては、どういう方向に走っているのかを知らないと、住所表示だけでは位置が分からないということになる。たとえば、ニューヨーク・アヴェニューは東西に近い方向に走っているため、「1440 New York Avenue, N.W.」は、ニューヨーク・アヴェニューに面した14番ストリートと15番ストリートの間を意味し、コネティカット・アヴェニューは南北に近い方向に走っているため、「1001 Connecticut Avenue, N.W.」は、コネティカット・アヴェニューに面したKストリートとLストリートの間を意味することになる。

このように、ワシントンDCの住所表示は順番に並べるということが比較的機能していると言ってよいであろう。一方、ニューヨークでは、通り名と地番は順番に並べられているが、それぞれが相互に対応していないため、住所表示から簡単に場所を特定はすることはできない。

その他の多くの町では、住所表示から場所を理解することは、さらに難しい。モントゴメリ・モールというショッピング・モールが「7101 Democracy Boulevard, Bethesda」にあると知り、隣町だなと気軽な気持ちでメトロに乗って向かった時のことだ。ベセスダ駅に到着して構内にある地図を見たが、デモクラシ・ブルヴァードがどこにあるのか分からない。そこで、通りかかったレストランの店員に聞いてみると、何と数マイルも離れているというではないか。これは、ショッピング・モールが通常郊外にあるということを知っていれば当然のことであったかもしれないが、唖然とした。結局、ベセスダ駅からバスに乗って向かうことにしたが、予定外の時間がかかってしまった。

住所表示のために次に困惑した町はピッツバーグだ。訪問予定団体の面している通り名がヘンリ・ストリートとなっていた。AAAで貰った地図を広げてみると、通り名が無尽に書き込まれている。もし、まだピッツバーグに到着していなかったとしたら、ピッツバーグを訪ねる気が失せていたかもしれないぐらいの量だ。裏面を見ると、その通り名がアルファベット順に並べられており、地図上の位置が区画によって示されていた。探してみると、ヘンリ・ストリートは何と3つもあるではないか。これは、郊外の町を含んだ地図であったからかもしれない。それぞれの通りがピッツバーグ市内を走っているかどうか地図上で確認しようとしたが、いくら位置が区画によって示されているとは言え、通りがあまりにも多すぎて簡単に見つけることはできなかった。この問題は、もちろん団体に訪問経路を直接電話で問い合わせることによって解決し、ダウンタウンから約2マイル離れた地域にあることが分かったが、このように通りの入り組んだ町では、住所表示から場所の見当を付けることは絶望的だ。

シカゴでは、ダウンタウンから40〜50マイル離れていてシカゴの地図には掲載されていない町を訪ねることになり、訪問経路を電話で問い合わせたがなかなか理解することができなかった。また、郊外では、大企業になると公道から入り込んだその企業の私道を基準にして住所表示をしていることもあるため、住所表示から場所の見当を付けることは不可能になっていると言ってよいであろう。

これは、ほかの多くの都市にも当てはまる問題だ。このような問題は、たとえば同じような住所表示法を用いているバンコクでは、大通りから分岐している小道には単に路地1、路地2、路地3というような名前しかつけず、大通り名を併記することによって系統立てた分類をし、ラテン系の国ではゾウンに区切ることによって系統立てた分類をすることなどによって解決しているようだが、個人主義が旺盛な合衆国では、それぞれの通りが独自性を主張し、名目上のこととは言え、ほかの大きな通りに従属させられることには承服しかねるのかもしれない。

次は、アムトラックを予約するためにユニオン駅を訪ねた時のことだ。ワシントンDCを出発する列車を系統立てて分類した時刻表は見当たらない。路線ごとの時刻表が並べられているだけだ。インフォメイションでピッツバーグに向かう列車の時刻を駅員に尋ねると、シカゴ行列車の時刻表を手渡された。確かにピッツバーグを経由している。ピッツバーグに向かう列車はそれだけかと尋ねると、別の都市を経由するシカゴ行列車の時刻表を手渡され、ピッツバーグに向かう列車はその2種類があるという。しかし、時刻表を見て確認すると、後で教えてもらった列車はピッツバーグを経由しないことが分かった。そこで、別の駅員に同じ質問をすると、一般にはピッツバーグに向かう列車は1種類しかないが、時間がかかってもよいのならフィラデルフィアで乗り換えることもできるという。このようなことは、系統立てて分類された時刻表があれば一目瞭然のことではないだろうか。駅員の資質や質問内容によって案内する内容が変わるということは時代遅れと言わざるを得ないであろう。

バスの事情も同様だ。ワシントンDCを始めとしてどの町でも市内バスの路線一覧図は見当たらない。どの町でも、用意されているのは路線ごとの時刻表だけだ。路線番号順に並べられていても、どの路線に乗ればよいのか全く分からない。代替路線はないのか、直行便がない場合にどこで乗り換えることができるのかなどの情報も皆無だ。また、長距離バスの事情も異ならない。バス・ディーポに目的地ごとの出発時刻は順番に並べて掲示されていても、運行経路や乗り換えのための情報がないことはもちろん、到着時刻さえカウンターで尋ねないと分からない。バス・ディーポに目的地ごとの出発時刻が掲示されていない町さえある。

州別地図帳にも、系統立てて分類することなく順番に並べることの弊害が表れている。ヴァージニア州の地図を見ていたとして、北隣のメリランド(Maryland)州の地図を見たいと思って1頁戻っても、そこにはメリランド州の地図はない。州別地図はアルファベット順に並べられているからだ。しかも、Mの項にもない場合がある。メリランド州は大きな州ではないので、隣接するデラウェア(Delaware)州と同じ地図に掲示され、Dの項に掲載されている場合があるのだ。このことは目次を見れば分かるが、地図には隣接する州の掲載頁についての情報はないことが多い。

次のような経験もあった。複数の州政府を訪問したいと考えていたので、受入先の中で州政府とコンタクトのありそうな部署に州政府の電話番号一覧表はないかと尋ねたが、そのようなものはないとの返事であった。訪ねたい州ごとに州政府所在都市を調べ、電話局でその都市のエリア・コウドを尋ねた後、初めて現地の電話局に電話をかけて電話番号を尋ねることができるのだそうだ。また、受入先のテレフォン・ディレクトリ(電話番号簿)には、幹部職員の名前は所属部署ごとに掲載されていたが、一般職員の名前はアルファベット順に並べられているだけで、所属部署は併記されていたもののオフィス名までは掲載されていなかった。そのため、担当者名が明確に分かっている場合でないと使いづらかった。

これらの例は、すべて順番に並べるだけで系統立てた分類をしていないことに起因していると思う。合衆国滞在中は、このようなことに幾度となく悩まされた。

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■アメリカ人の国民性に対する印象としては、開放的であるとともにマナーのよさを持ち合わせている反面で、排他的な面も持っているということが挙げられる。

アメリカ人と会うと、面識がない場合でもすぐに「Hi!」と声がかかる。「御機嫌いかが。」は、中学校で習った英語とは異なり通常「How are you doing?」だ。最初はこの意味が分からなくて困った。いつも気分爽快というわけではないので、返答は「fine」よりも「O.K.」であることの方が多い。「okeydokey」という言葉もある。そのほかアメリカ人の会話に頻出する言葉は「Cool! (いかすね。)」、「definitely(確かに)」「exactly (その通り)」、「You are kidding!(冗談だろう。)」などだ。これらの言葉を自由に使いこなすことができるようになったら、アメリカ人の中で伍していけるかもしれない。

また、ブリティッシュに見られるような紳士淑女の気風も受け継いでいる。デパートメント・ストアなどのドアがプッシュ式の場合、後続の人がいれば反動でドアにぶつからないようにドアを支えておくということは常識だが、プル式の場合も、ドアを支えておいて後続の人に「After you.(お先にどうぞ。)」と声をかけて先に通させることがある。自動車運転のマナーもよいようだ。某国のように歩行者を無視して我が物顔で走っているということはない。歩行者が路上で立ち往生している場合、たとえその歩行者が信号無視をしているとしても先に通させることがある。

一方、保守的な面も持っている。ピッツバーグのAAAを出ようとしていた時、ちょうど入れ違いに入ってきた壮年の男性に入口と出口を間違えていると指摘された。そこで、本当に間違えているのか確認しようとしていたところ、強い調子で「I'm sorry, sir!」と言われた。これは、「申し訳ありませんでしたと言え!」という意味であろう。入口と出口を間違えていたとしても、男性にぶつかったわけではないし、男性の進路を妨害したわけでもないのに、厳しい口調であった。

経済的には、共同体社会特有の性善説に基づいた取り引きが行われることが多いように思う。たとえば、トラヴェラーズ・チェックのカウンター・シグナチャー(使用時署名)をしているところを相手が確認し損なったとしても、カウンター・シグナチャーはその場で行ったのかと確認するだけでそのトラヴェラーズ・チェックを受け取ってくれることが多かった。他国では確認のために裏面に再びサインさせることが通常だと思う。また、レンタカー会社のスタッフが国際運転免許証の有効期限の記載欄が分からない時、こちらの報告を国際運転免許証上で確認せず、そのまま信用して書類に記入するということがあった。さらに、アパートメントのレンタル料金を管理室のスタッフにマネー・オーダーによって支払った際、領収証は手許にあるマネー・オーダーの控だと言われたことがある。スタッフは、以前マネー・オーダーはいずれにしても金券には違いないのだから振出先を少し間違えて記入しても問題ないと教えてくれたことがあった。それならば、マネー・オーダーの控は領収証の役割は果たさないのではないかと訝しく思った。

これらの例は、制度の運用が便宜上簡略化しているだけだと解釈することもできるが、さらに制度そのものが性善説に基づいていると考えられることもある。電話などで商品の申込みを行った場合にクレディット・カードからの料金の引き落としはサインなしで行われることになるし、小切手の信用管理の問題はどのように解決されているのか分からない。また、レストランでは、請求書を客に渡した後、客が代金を用意してもなかなか受け取りにこないことが多い。これは、客が釣銭を受け取らずに立ち去ることを期待しているためだと思われる。その方がより多くのティップを期待することができるのかもしれないが、結果として客が立ち去るまで支払額を確認することができない。少なくとも請求額を客がテイブルの上に置いてくれることは信用しているわけだ。

もちろん、自己の権利が侵害された場合は、建国以来の伝統に従って徹底的に自己の権利を擁護しようとする。電話の加入を申し込んだ時のことだが、サンクスギヴィング・デイに伴う休暇期間に当たってしまったため、申込みから接続のための工事まで10日間程度を要すると言われた。それは不便だと思ってアパートメントの管理室のスタッフに相談したところ、「仕事のためにどうしても電話が必要だと主張すればよい。ここはアメリカだ。(This is America.)」と言われた。この場合、「アメリカ」という言葉には、移民の国、多民族国家の国、自由主義の国という意味が含まれているのであろう。スタッフのアドヴァイスに従って、工事日を早めてくれるよう再び交渉することにした。結果的に工事日は早まらなかったが、自己の権利意識の高いアメリカ人の気概を理解することができた。

銃社会の弊害が再三主張されるにも関わらず銃規制が進まないのも、自分の安全は自分で守るというアメリカ人の意識のためであろう。英語を満足に話すことのできない外国からの訪問客や移民は弱者として扱われ、アメリカ人に対して親切だという印象を持つことが多くても、生まれながらに英語を話す移民2世は競争相手と位置付けられるためかえって差別されるという話もある。アメリカ社会とアメリカ人の国民性をさらに根本的に理解しようとすれば、アフリカンが多く住むディープ・サウス(深南部、ジョージア州からルイジアナ州までの4州)の地方都市まで踏み込んで、人種問題について理解を深める必要があったかもしれない。全く奥の深い国だ。

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■アメリカ社会で効率的だと感じたのは、次のような点だ。

第1に、メトロでは、通勤ラッシュを緩和するように料金設定が行われている。定期券などというようなものはなく、乗客は通勤客も含めてJR東日本のイオ・カードと同様に自動改札機に通すと自動的に度数が引き落とされるようになっているプリペイド・カードを買うことになる。そのほかに2週間にわたって全区間有効のフリー・パスが50ドルで売られているが、期間内によほどメトロを利用しない限り購入のメリットはない。プリペイド・カードは、1度に20ドル分以上を買うと購入額の10%に相当する度数が追加になる。それが常連客に対する唯一の割引制度だ。それとは別にラッシュ・アワー料金という制度があり、ラッシュ・アワーの料金は通常の約5割増になる。定期券の利用によって通勤客が通常料金の約半額で乗車することのできる日本とは正に逆の制度になっているわけだ。日本で最初に定期券制度が導入されたのは、通勤費用を割安にすることによって営業路線の沿線に住宅を誘致しようと鉄道会社が企図したためだと聞くが、現在では多くの企業が社員の通勤費用を負担するようになるとともに地価が高くなり、居住地の決定に際して通勤費用が考慮されることは少なくなっていると考えられる。したがって、通勤費用を割安にすることによる住宅の誘致という鉄道会社の当初の目的は形骸化し、定期券制度は慣習によって続いているに過ぎないと言ってよいであろう。一方で鉄道会社は時差出勤を呼び掛けているが、料金制度を改革せずに通勤ラッシュを効果的に緩和することはできるのだろうかと、合衆国と対比しながら考えている。

第2に、航空会社は、利益が最大になるように航空券の料金設定を行っている。航空券は、原則として購入時期が早ければ早いほど安く、特に出発の3週間以上前に予約するとかなり安くなる。航空会社は、このような料金設定によってできるだけ早く乗客を確保しようとしているのだ。また、航空券は、土曜日を滞在先で宿泊するように日程を組むことによっても安くなる。航空会社がこのような料金設定を行っているのは、需要が料金に影響されやすい観光客に対しては多売によって、料金に影響されにくいビジネス客に対しては利幅によって利益を上げようとしているためだ。そして、一般に観光客は週末の利用が多くビジネス客は平日の利用が多いため、土曜日を滞在先で宿泊するかどうかによって利用目的を判断するという合理的な戦略が取られているのだ。そのほか空席状況などによって料金が大きく異なってくる。

一方、アメリカ社会で非効率的だと感じたのは、度量衡制で独自の方式(ヤード・ポンド法、帝国・米国慣習単位)が用いられていることだ。長さはインチ(約25.4mm)、フィート(12インチ、約305mm)、ヤード(3フィート、約914mm)、マイル(1,760ヤード、約1.61km)、容積はクォート(約950mL)、ガロン(4クォート、約3.79L)、重さはオンス(約28.3g)、ポンド(16オンス、約453g)などと入り乱れている。温度は華氏が用いられており、換算式は、摂氏表示温度=(華氏表示温度−32)×5/9と複雑だ。EUによる市場統合の強化の中で連合王国がメートル法の定着を推進しており、メートル法が定着していない主な国は合衆国だけとなっている。その上、国内でも度量衡制が十進法になっていない。尺貫法を廃止した日本を含め多くの国でメートル法への移行のための苦労を経験してきたが、合衆国では将来のため当面は不自由に耐えようという覚悟ができていないようだ。合衆国でメートル法に則った表示を見かけたのは、大陸ヨーロッパの影響が大きいと思われるスキー板のサイズだけであった。また、事務用紙のサイズはA4版(横210mm×縦297mm)が国際標準になったが、合衆国ではA4版よりも横が少し長く縦が少し短いレター・サイズ(横8.5インチ×縦11インチ)や横、縦ともに少し長いリーガル・サイズ(横8.5インチ×縦14インチ)という独自のサイズが一般化している。国際標準に背を向けることが多いのは、世界をリードする超大国という合衆国の立場を考えると困ったことだ。

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■物価については、日本と比べて安さが際立っていたと思う。

物価の国際比較の時によく用いられるハンバーガー・ショップでは、日本で600円で売られているミール(セット)が、ワシントンDCを含めて多くの地域で2.99ドル、北部の一部の地域で3.49ドル、ボストンなどで3.99ドルであった。日本と比べると、ハンバーガーが少し貧弱だがフレンチ・フライ(フライド・ポテト)やソフトドリンクの量は多いので、ほぼ同等の商品だと考えてよいであろう。ワシントンDCなどを比較の対象とすると、合衆国の料金は日本の約52%だ。

スーパーマーケットでは、炭酸飲料2L68セントで売られていることがあった。日本で300円で売られているとすると、合衆国の料金は日本の約24%だ。

ワシントン・ポストは合衆国の新聞の中でも安く、朝刊のみではあるが、平日版25セント、日曜日版1.50ドルであった。日曜日版は確かに紙面数が多いが、価格が平日版の6倍にもなっている理由は理解することができなかった。また、購読料金は1か月約10ドルとなっていた。日本の新聞と比べると印刷の品質が低いが、情報の質と量という観点からは簡単に甲乙を付けるわけにはいかないであろう。単純に価格比較をすると、日本の三大紙は一部売りの場合朝刊110円、購読の場合朝夕統合版1か月2,950円だから、一部売りの場合は1週間を平均して合衆国の料金は日本の約41%で、購読の場合は約35%だ。

自動車の運転に関連する料金も割安であった。

レンタカーのレンタル料金は、排気量1.6L程度のコンパクト・サイズを利用するとして、1日約40ドル、1週約200ドル、1か月約700ドルというところであった。ただし、ワン・ウェイの場合は長期レンタルをしても1日単位の料金が適用される。また、任意保険の保険料はかなり高いように感じた。日本では同程度のレンタカーを借りるとして初日13,000円、2日目以降9,000円だとすると、レンタル期間が1日の場合は合衆国の料金は日本の約32%で、1週の場合は約31%、1か月の場合は約26%だ。

ガソリンは1ガロン約1.20ドルであった。日本では1L100円だとすると、合衆国の料金は日本の約33%だ。また、ほとんどの高速道路が無料であることもあって、かなり割安に長距離のドライヴをすることができる。

AAAの初年度会費は57ドルであった。日本のカウンターパートのJAFの年会費とあまり変わらないが、サーヴィスの充実度を考慮すると非常に割安だと言ってよいであろう。

ただし、ティップの支払いがマナーとなっている場合は、金額の多寡に関わらず、余計な気遣いが必要になる。特に、タクシーに乗っている場合は、刻々と変化するメーターを睨みながら最終的な料金を予想する一方で手許にある紙幣を確認し、いくら渡せば「Keep the change, please.(釣銭は受け取って下さい。)」と格好よく決めることができるかなどと気になって落ち着かない。

現地での1日平均の滞在費用(土産費を除く)は約16,000円であった。滞在費用のうちアパートメントのレンタル料金を除く一人当たり宿泊料金の最高はピッツバーグの約12,000円で、最低はサンサルバドルの約970円であった。

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■経済の国際的緊密度の高まりの中で、米国企業では労働生産性上昇による国際競争力回復のため、大規模な解雇を含むリストラクチャリングが進行している。その結果、企業経営は安定に向かったが、雇用に関しては、雇用不安定な低賃金労働者が増加するなどの問題が生じている。これは、最大多数の所得向上という経済運営の目的に合致せず、構造調整期における大問題だと考えられる。日本においては、終身雇用慣行が存在し、過剰人員が生じてもできる限り解雇などの雇用調整を避けようとする傾向があるため、米国で生じたような雇用面における大規模なリストラクチャリングは一般に起こりづらい。しかし、年功賃金慣行の下で長期勤続することにより賃金上昇を期待することのできる状況にあるため、労働者が離職することによって被る不利益は米国と比べて大きなものとなっていると考えられる。また、日本においても、今後雇用慣行が変化することも予想され、その場合、米国と同様の雇用問題が起こる懸念がある。そして、この問題に適切に対処することは、日本の政労使にとって非常に重要な課題だ。

リストラクチャリング(ダウンサイジング)の背景は、以下の通りだ。
  • 米国の国際競争力が高かった石油危機までの時期は肥大化した組織を許容する余裕があったが、アジア各国などのキャッチアップにより、余裕がなくなった。
  • 技術革新が進展した。(レイオフの対象は、1980年代はブルー・カラー中心であったが、情報化の進展により、現在は中間管理職を中心としたホワイト・カラーに及んでいる。)
  • リエンジニアリング(経営プロセスの革新)の中で、組織のフラット化(ディレイヤリング)が進展している。
  • NAFTAの発効やメキシコにおけるインフラストラクチャーの整備などにより国際競争が激化した。
  • 冷戦の終結により防衛産業や軍事基地が縮小した。
  • 労働組合の弱体化の中で、コスト削減の方法として労働者のレイオフが容易であり、リストラクチャリングを行うことは社会的にも評価される(株価の上昇)。
  • 従来大企業において存在していた長期安定雇用システム(社会的契約)が消滅し、コスト意識が高まった。
  • 業務の外部化(アウトソーシング)が進展した。
リストラクチャリングの進展の中で、雇用者数は増加している。
  • 産業別に増加しているのは、サーヴィス業(特に労働者派遣業を中心とした対事業所サーヴィス業)や小売業(特に大規模な郊外型・工場直送のアウトレット・モール)などだ。
  • 労働者の種類別には、賃金の低い非熟練労働者、派遣労働者、パートタイム労働者などだ。
  • 地域別には、労働組合組織率が低く、相対的に賃金の低い南部(ジョージア州からルイジアナ州まで)、フロリダ州、テクサス州などだ。
賃金格差は拡大している。
  • 非熟練労働者は、諸外国の労働者と競合関係にある。
  • 労働組合が弱体化した。
  • 情報化の進展の中で、新技術に対応することのできる労働者とそうでない労働者の間で賃金格差が拡大した。
  • サーヴィス業など比較的賃金の低い産業が成長した。ただし、産業内における賃金格差も拡大している(勝者総取りの社会)。
  • 中間管理職がレイオフされることなどにより、同学歴間でも賃金格差が拡大した。
失業率は1990年代初頭の7%台から5%台まで低下したが、雇用情勢は楽観を許さない。企業のリストラクチャリングは断続的に続いており、解雇される不安を感じている労働者の割合は高い。また、一旦解雇されると、労働条件を切り下げないで再就職先を探すことは難しい。そして、賃金交渉の際のバーゲニング・パワーは低下している。雇用不安と表裏一体の関係にあるのが労働組合の弱体化だ。一般に使用者は労働運動に対する理解がない。労働組合は、組合員の労働条件の向上には成功してきたが、業務の外部化、派遣労働者の増加、組織率の低い南部への工場移転などにより、組織率は低下を続けている。労働組合は、交渉力の強化のため、組織率の向上を目指しているが、雇用不安が蔓延している中では難しい。政策面では、最低賃金の引き上げが検討されている(共和党は反対)。また、労働者個人が自己の職業能力開発やキャリア形成を管理する「エンプロイヤビリティ」が提唱されているが、成長産業でも安易に労働者の解雇が行われる中では、難しい問題だ。規制との関係では、規制緩和の行われた通信業でAT&Tなどの大規模なリストラクチャリングが行われている一方、組織化されていない企業が成長している。労働者派遣業は、大手派遣会社によると、会社は労働者の職業能力・勤務態度を見極めながら常用雇用への転換を検討することができる(労働者は会社の雰囲気を見極めながら常用雇用としての就職を検討することができる)という意味で、労働力需給調整としての役割を果たしているとのことだ。よく耳にする言葉は、「明日は今日よりもよいとは限らない。」、「子供の世代が親の世代よりもよい生活を送ることができるとは限らない。」、「夫妻の共働により何とか生計を立てている。」だ。

リストラクチャリングは、リエンジニアリングと同時に行われるのであれば、個々の企業にとって意味がある。リエンジニアリングは、企業の組織や作業を抜本的に見直し、効率化を図ろうとするものだ。その中には、ディレイヤリングも含まれている。これに対して、リストラクチャリングが、単に労働者数を削減するダウンサイジングを意味し、組織や作業の見直しを行わないならば、作業効率が低下してかえって生産性が低下する可能性もある。社会にとってのリストラクチャリングの問題は様々だが、生活の不安定な労働者が増加すること、治安の悪化を含む社会不安が広がることなどの社会問題から、解雇された管理職などの購買力が低下して内需が縮小し、縮小均衡に陥る危険があること、努力が報われないことによって労働者のモラールが低下し、生産性が低下することなどの比較的短期的な経済問題、さらには研究開発などに対する投資が行われなくなるという経済発展上の問題まで、多岐にわたっている。今後、米国においては、経済情勢や雇用情勢の見通しは明るいとする見方もあるものの、それが様々な問題を内包したままの経済成長なのか、あるいは経済成長の過程で前述の問題が徐々に解消されていくのか、予断を許さないところだ。

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概要

前訪問地発 当訪問地着 訪問地
1995年11月
出発 日本 東京
9日19:00 空路 14:45 アメリカ合衆国 シカゴ
16:45 空路 19:30 ワシントンDC
1995年11月
21日08:15 空路 09:40 アメリカ合衆国 バッファロー
22日10:00 空路 10:40 ロチェスター
11:10 空路 12:20 ニューヨーク
26日12:00 道路 18:00 ワシントンDC
1995年12月
17日22:00 道路 18日03:15 アメリカ合衆国 ピッツバーグ
19日18:00 道路 20日00:15 ワシントンDC
1995年12月
21日10:00 道路 20:00 アメリカ合衆国 アトランティック・シティ
22:00 道路 22日08:00 ワシントンDC
1995年12月〜1996年1月
24日14:10 空路 16:30 アメリカ合衆国 ヒューストン
17:30 空路 18:30 エルパソ
20:15 道路 22:00 メキシコ シウダー・フアレス
23:00 道路 26日01:30 メキシコ・シティ
13:20 空路 15:00 グアテマラ グアテマラ・シティ
15:30 空路 16:00 エルサルバドル サンサルバドル
27日09:15 道路 14:15 グアテマラ グアテマラ・シティ
15:30 道路 17:00 アンティグア
18:30 道路 19:30 グアテマラ・シティ
28日08:30 道路 15:00 テクンウマン
15:10 徒歩 15:30 メキシコ シウダー・イダルゴ
15:50 道路 16:30 タパチュラ
29日12:45 道路 30日07:00 メキシコ・シティ
31日22:15 道路 1日22:00 シウダー・フアレス
2日08:30 徒歩 08:00 アメリカ合衆国 エルパソ
12:10 空路 14:50 ヒューストン
15:30 空路 19:30 ワシントンDC
1996年1月
24日07:00 空路 08:00 アメリカ合衆国 シカゴ
09:45 空路 10:30 ミルウォーキー
17:00 道路 19:30 シカゴ
28日07:10 空路 09:15 デトロイト
31日17:10 空路 17:20 シカゴ
18:00 空路 21:00 ワシントンDC
1996年2月
13日03:00 道路 10:00 アメリカ合衆国 ニューヨーク
19:00 道路 23:00 プリンストン
14日11:00 道路 13:00 ベスレヘム
15:00 道路 22:00 サジントン
15日09:00 道路 15:00 ボストン
17日14:30 空路 15:30 ニューヨーク
16:00 空路 17:00 ワシントンDC
1996年2月
21日18:00 空路 19:00 アメリカ合衆国 メンフィス
19:40 空路 22:00 アトランタ
23日17:00 道路 23:00 メリディアン
24日10:30 道路 14:30 ニューオリンズ
18:00 道路 22:00 ペンサコウラ
25日08:00 道路 16:00 アトランタ
19:00 空路 19:20 メンフィス
20:00 空路 23:00 ワシントンDC
1996年3月
2日11:00 空路 12:00 アメリカ合衆国 シカゴ
12:40 空路 15:00 ダラス
16:00 道路 23:00 ラレード
3日10:00 道路 14:00 オースティン
5日14:00 道路 17:00 ダラス
7日07:00 空路 08:00 デンヴァー
9日10:00 道路 10日02:30 サライナ
09:00 道路 11日01:00 バーストウ
06:15 道路 09:45 ロスアンジェルス
12日16:00 道路 21:30 ベイカーズフィールド
13日07:00 道路 11:00 サンフランシスコ
16日09:00 道路 23:00 サンディエゴ
18日09:00 道路 12:00 ロスアンジェルス
20日13:00 道路 22:30 ウィード
21日09:00 道路 21:00 カナダ ヴァンクーヴァー
22日12:30 道路 22:30 アメリカ合衆国 ミズーラ
23日09:00 道路 10:30 ビュート
17:00 空路 18:20 ソルトレイク・シティ
19:10 空路 21:30 デンヴァー
24日16:00 空路 19:20 シカゴ
20:15 空路 23:00 ワシントンDC
1996年3月
25日09:00 道路 11:00 アメリカ合衆国 ハリスバーグ
14:00 道路 16:00 ワシントンDC
1996年3月
29日10:00 空路 11:00 アメリカ合衆国 シカゴ
12:00 空路 30日16:30 日本 東京
徒歩 :徒歩、 道路 :道路、 空路 :空路)

訪問地 宿泊先 単価
1995年11月
アメリカ合衆国 ワシントンDC The Carlyle Suites US.$ 91.90 5
H.H. Apts.(チェヴィチェイス) 7
1995年11月
アメリカ合衆国 バッファロー Comfort Inn(ナイアガラフォールズ) US.$ 100.69 1
ニューヨーク Best Western President US.$ 188.86 2
US.$ 205.85 1
JFK Airport Hilton US.$ 182.07 1
ワシントンDC H.H. Apts.(チェヴィチェイス) 21
1995年12月
アメリカ合衆国 ピッツバーグ Hilton and Towers US.$ 118.05 1
ワシントンDC H.H. Apts.(チェヴィチェイス) 2
1995年12月
アメリカ合衆国 ワシントンDC H.H. Apts.(チェヴィチェイス) 2
1995年12月〜1996年1月
エルサルバドル サンサルバドル Hotel Panamericano SV.C 80 1
グアテマラ グアテマラ・シティ Hotel Chalet Swizo GT.Q 80 1
メキシコ タパチュラ Hotel Fenix MX.N 85 1
メキシコ・シティ Hotel Hidalgo MX.N 125 1
シウダー・フアレス 不詳 MX.N 100 1
アメリカ合衆国 ワシントンDC H.H. Apts.(チェヴィチェイス) 22
1996年1月
アメリカ合衆国 シカゴ La Quinta Inn(シャウンバーグ) US.$ 80.30 1
US.$ 72.60 1
Budgetel Inn(サウスホランド) US.$ 66.93 1
デトロイト Radisson Plaza Hotel(サウスフィールド) US.$ 89.49 3
ワシントンDC H.H. Apts.(チェヴィチェイス) 13
1996年2月
アメリカ合衆国 プリンストン Colonade Motel(ハイツタウン) US.$ 39.22 1
サジントン Days Inn US.$ 50.34 1
ボストン Best Western(ケンブリッジ) US.$ 83.37 2
ワシントンDC H.H. Apts.(チェヴィチェイス) 4
1996年2月
アメリカ合衆国 アトランタ Travelodge US.$ 85.88 2
メリディアン Relax Inn US.$ 20.80 1
ペンサコウラ Days Inn US.$ 41.66 1
ワシントンDC H.H. Apts.(チェヴィチェイス) 6
1996年3月
アメリカ合衆国 ラレード Family Gardens Inn US.$ 51.30 1
オースティン Days Inn US.$ 61.00 1
US.$ 66.67 1
ダラス Days Inn(アーヴィング) US.$ 39.96 2
デンヴァー Comfort Inn(レイクウッド) US.$ 60.12 2
サライナ Safari Motel US.$ 37.62 1
バーストウ Gateway Motel US.$ 22.00 1
ロスアンジェルス Best Western Dragon Gate Inn US.$ 69.76 1
ベイカーズフィールド Econo Lodge US.$ 38.45 1
サンフランシスコ Days Inn(レッドウッド・シティ) US.$ 54.00 3
サンディエゴ International Motor Inn US.$ 47.74 2
ロスアンジェルス Holiday Inn US.$ 74.10 2
ウィード Sis-Q Inn US.$ 39.60 1
カナダ ヴァンクーヴァー Lake City Motor Inn(バーナビ) CA.$ 70.15 1
アメリカ合衆国 ミズーラ Super 8 Motel US.$ 37.33 1
デンヴァー La Quinta Inn(オーロラ) US.$ 67.08 1
ワシントンDC Econo Lodge(アーリントン) US.$ 60.37 1
1996年3月
アメリカ合衆国 ワシントンDC Econo Lodge(アーリントン) US.$ 60.37 4

国名 通貨 為替 生活 食料 交通 教養 娯楽
アメリカ合衆国 11月 US.$ 104円 457.66 137.60 105.05 55.58 2,921.52
12月 391.58 287.86 269.65 71.75 700.79
1月 113.10 363.16 1,197.74 296.93 25.47
2月 153.47 332.19 1,552.23 196.28 7.50
3月 1,394.92 305.86 2,411.34 49.60 156.42
小計 2,510.73 1,426,67 5,536.01 670.14 3,811.70
カナダ CA.$ 76.3円 0 48.35 0 0 0
メキシコ MX.N 14.5円 44 335.95 1,073.50 0 7
エルサルバドル SV.C 12.1円 0 22.25 215.75 0 0
グアテマラ GT.Q 18.1円 5 33.30 35.65 0 0.50
日本 JP.\ 1.00円 0 0 0 0 0
通貨計 JP.\ 1.00円 262,423 158,131 595,839 69,849 397,406

国名 住居 土産 支出計 円換算 日平均
アメリカ合衆国 11月 1,136.00 0 4,813.41 501,705 22.0 22,805
12月 1,372.39 0 3,094.02 322,492 23.9 13,493
1月 1,607.54 0 3,603.94 375,641 29.7 12,648
2月 1,692.03 0 3,933.70 410,012 29.0 14,138
3月 1,463.68 45 5,826.82 602,643 27.8 21,678
小計 7,271.64 45 21,271.89 2,212,492 132.4 16,711
カナダ 70.15
内訳
0 118.50 9,037 1.2 7,531
メキシコ 310
内訳
104.95 1,875.40 25,664 6.3 4,074
エルサルバドル 80
内訳
0 318 3,850 0.9 4,277
グアテマラ 80
内訳
0 154.45 2,792 1.2 2,327
日本 0 0 0 0 1.0 0
通貨計 770,186 6,212 2,253,835 143.0 15,761
(注) 円換算と日平均は土産費を除く。

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春 夏 秋 冬
夏 秋 冬 春
秋 冬 春 夏
冬 春 夏 秋
春 夏 秋 冬
夏 秋 冬 春
秋 冬 春 夏
冬 春 夏 秋

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