 ドゥバイ空港付近
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■ドゥバイ空港に向けて利用したのは、LCCのフライドゥバイだ。到着は、深夜2時頃であった。主にLCCが発着するターミナルは、ほかのターミナルとは隔てられており、メトロとのアクセスもよくなかった。空港で時間を費やして明るくなるのを待った後、ホテルを予約したデイラ地区にバスに乗って向かった。
 デイラ
 デイラ
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■バスを降りると、最初に視界に飛び込んできた南インド料理店に入り、腹ごしらえをすることにした。ドーサ(米と豆をペイスト状にした後、鉄板の上に薄く伸ばして焼いたもの)を注文した。バニヤス・スクエアの近くにあるホテルに近づくにつれて、次第に雑然とした町並みが姿を現すようになった。インド人などの外国人居住者が多いようであった。世界最高層ビルディングを始めとして多くの超高層ビルディングを擁し、世界に冠たる金融都市ドゥバイの一角が、発展途上国のダウンタウンの町並みとあまり変わらない様相を呈しているということは、新鮮な驚きであった。ガイドブックに、ドゥバイ・クリークの東側が「古き良きアラビア文化の旧市街」だと説明されている理由を理解することができた。偶然によって千載一遇の機会を得ることができたと言うことができるのかもしれない。あるいは、安宿を確保しようとしていたのだから、当然の帰結だというになるのであろうか。後に関係者も、当地の中でデイラは雰囲気が異なると言っていた。デイラに足を踏み入れることを自制した方がよかったという意味が含まれていたのかもしれないが、後の祭りであった。チェックインを済ませると、市内見物を始めた。
 スパイス・スーク
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■ゴウルド・スークでは、様々な装飾品店が商品を取り扱っている。そして、スパイス・スーク(デイラ・オウルド・スーク)まで来ると、大量のスパイスが取り扱われており、種類も豊富だ。アラビア世界において、スパイスがいかに重宝されているかということが窺われる。
 アフガニスタン料理店
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■デイラでは、アフガニスタン料理店でフィッシュ・フライを試したり、カシミール(インド北部とパキスタン北部の国境地域)料理店でマトン・カラヒ(鍋で煮込んだマトン)に舌鼓を打ったり、トルコ料理店でミックス野菜を注文したりすることができた。
 アブラ乗場
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■スパイス・スークからアブラでドゥバイ・クリークを渡ると、パール・ドゥバイに至る。そして、眼前に待ち構えているのがテクスタイル・スーク(ドゥバイ・オウルド・スーク)だ。布地などの店がえんえんと続くのだが、営業に熱心なあまり、問題も起こっているようだ。スークを歩いていると、突然布地を投げ掛けられて体に巻き付けられたり、腕を掴んで進行を止めようとされたりした。腕を掴んで進行を止めるというのは、それまでほとんど経験したことのない行為であり、驚かされた。
 ドゥバイ・ヘルスケア・シティ
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■翌日は、当地を訪ねた本来の目的である予防接種を受ける日だ。ドゥバイ・ヘルスケア・シティ駅を出ると、近代的なビルディングが整然と立ち並んでいる。すべてが医療機関だ。ドゥバイが金融や観光などとともに重点を置いている医療産業が集積されたものだ。国内居住者だけではなく海外居住者に対しても医療サーヴィスを提供する医療ハブを形成し、観光と医療を融合させた医療トゥーリズムの発展を目指している現場にいると言うことができるであろう。目指すクリニックもそのような医療コンプレックスの一角にあった。ほかの患者と鉢合わせすることのない贅沢な環境の下で手続きが進められ、日本人女性医師から予防接種を受けることができた。
 DAMACプロパティズ駅
 パーム・ジュメイラ
 パーム・ジュメイラ
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■予防接種が終わると、高級リゾートのパーム・ジュメイラに向かった。途中、ダウンタウンのジャフィリーヤ駅、ワールド・トレイド・センター駅、エミレイツ・タワーズ駅、ファイナンシャル・センター駅などでは、超高層ビルディング群に驚かされる。
■DAMACプロパティズ駅でメトロを降りると、ドゥバイ・マリーナ駅でトラムに乗り換える。ジュメイラ・ビーチの高級住宅街を巡った後、パーム・ジュメイラ駅からモノレイルのパーム・ゲイトウェイ駅への乗り換えとなるが、経由する駐車場内の進路が分かりづらかった。パーム・ジュメイラは椰子を模しており、世界最大の人口島とされるパーム・アイランドの1つだ。モノレイルからは、ドゥバイの海岸線を500kmも長くしたという椰子の幹に当たる埋立部分を通っていることが分かるが、ペルーのナスカの地上絵と同じく、地上から全貌を窺い知ることはできない。近くには、世界地図を模したザ・ワールドという人工島もあるという。究極の観光開発なのか、あるいは壮大な資源浪費なのか、議論の分かれるところであろう。アトランティス・アクアヴェンチャー駅からウォーター・アミューズメント・パークのアクアヴェンチャーを訪ねるのが定番なのであろうが、入場料金が高額なので、サンドウィッチを頬張ると早々にホテルに戻った。
 ブルジュ・ハリファ付近
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■最終日は、それまで夜間にしか見たことがなかったブルジュ・ハリファを、日中にゆっくりと見物した。周囲を一周して様々な角度から眺めたり、館内を電気自動車が走っているドゥバイ・モールを訪ねてその大きさを実感したりした。モールでは、ドゥバイ水族館の巨大な水槽を外から眺めることができた。意匠を凝らした人工湖のドゥバイ・ファウンテインは澄んだ水を湛え、清涼感を醸し出していた。
 ドゥバイ博物館
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■その後、再びパール・ドゥバイに立ち寄った。ファヒディ歴史地区(バスタキヤ)では、町並みの再現が図られていたが、生活臭を感じることができないのが残念であった。整然としすぎているのだ。さらに、ドゥバイ博物館を訪ねた。産油や金融によって潤う前の伝統的な生活の様子が蝋人形などによって再現されており、見応えがあった。
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